ウイルスや細菌に感染して起こる下痢や嘔吐などの症状は、総じて感染性胃腸炎と呼ばれます。

感染した菌の詳細が分かっている場合には細菌性胃腸炎やウイルス性胃腸炎などと呼ばれることもありますが、特徴的な症状が出ないかぎり、菌の特定を行わないため、ほとんどの場合、同じ「感染性胃腸炎」として扱われます。

ウイルス性胃腸炎と細菌性胃腸炎の症状の違い

同じ名前として呼ばれるだけあって、どちらの胃腸炎も症状はほとんど変わりません。下痢や嘔吐、熱などの症状が一般的です。

感染したウイルスや細菌の種類によっては特徴的な症状が出る場合があります。

ロタウイルスに感染すると、便に色を付ける胆汁が分泌されにくくなるため、白い水下痢が大量に出ます。これは1回では収まらず、何度も繰り返します。

O157等の病原性大腸菌(出血性大腸菌)に感染すると、血便が多く見られます。胃腸炎で血便が出る事自体が稀なので、血便が出た時点で出血性大腸菌を強く疑います。

大腸でO157等の菌が繁殖すると、腸の粘膜を破壊します。(ベロ毒素という毒を発生させるため。)その結果、腸から出血して血便になってしまうのです。

そもそもウイルスと細菌の違いとは?

そもそも、ウイルスと細菌は根本的に違います。細菌は生きていて、自分自身で増殖することができます。しかし、ウイルスは自分自身では増殖できず、生きた細胞を乗っ取ることで増殖します。

ウイルスは宿主の細胞を乗っ取って、コピー機のように自分を複製し増殖します。細菌は、自分自身で繁殖するため、食べ物などに付着して栄養を吸い取り、どんどん増殖していくのです。

また、その性質の違いから、薬の効果にも違いがあります。これが最もわかりやすく大きな違いです。

細菌には抗生物質が効き、ウイルスには抗生物質が効きません。風邪やインフルエンザで抗生物質が処方されないのもこのためです。

基本的には自然治癒に期待し、抗ウイルス剤(そのウイルスにだけ効果がある薬)を服用します。

ノロウイルスの場合、その抗ウイルス剤も無く、抗生物質も使えないため、感染しても有効な治療手段がないため、とても悪質なのです。

細菌性胃腸炎の場合、抗生物質を使って菌を殺すことができます。しかし、有害な細菌を殺すと同時に腸内の乳酸菌などの善玉菌も死んでしまうため、下痢の症状は続きます。

細菌性胃腸炎はうつらない?

ウイルス=感染するというイメージがあると思いますが、細菌性の下痢であっても同じように人にうつります。ですが、ウイルスに比べると人から人への感染はかなりしにくいので、基本的には感染しないと考えられています。

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ここでいう”うつる”とは、発症するという意味です。

ウイルスの場合、飛沫感染接触感染の危険があります。吐瀉物や便にはウイルスが混じっていますので、十分に手を洗わないと、感染してしまいます。

例えば、ノロウイルスに感染した人がトイレでちゃんと手を洗わず、便中のウイルスが手に付着していて、そのままドアノブを触ったり、他人に触れることで感染するケースが多いです。

細菌の場合、やはり食べ物を介した感染になります。菌が大量に繁殖したものを色々な人が食べ、一斉に感染します。小学校の給食で集団感染するのもこのためです。

細菌に感染するには、大量の菌を体内に入れる必要があります。そのため、ノロウイルスのように接触しただけでは感染しにくく、食べ物から感染するのが一般的なのです。

ですが、O157の場合、発症菌数がとても少ないため、食べ物以外からでも感染してしまうので注意が必要です。ウイルスと同じように、ドアノブや電車の吊革などを触って手を洗わないまま飲食すると、感染する可能性があります。

治療法に違いは?

ウイルス性胃腸炎の場合も細菌性胃腸炎の場合も、薬を使って下痢を止めたりはせず、十分な水分補給と絶食、そして休息が基本です。

細菌性の場合は抗生物質が有効ですが、症状の診断だけで原因が細菌かウイルスかを特定するのは難しく、抗生物質には副作用があるため、よほど症状が重症じゃないかぎりは、あまり処方されません。

抗生物質を使うと腸内の善玉菌まで殺してしまい、腸内環境のバランスが崩れます。そのため、下痢がさらに悪化してしまうのです。

ですから、薬はあまり処方せず、とにかく水分を補給して自然治癒に任せることになります。

他にも、解熱剤や制吐剤を用いることも有りますが、熱や嘔吐というのは原因菌を殺したり、体外に排出するための防衛反応ですので、できるだけ服用しないのが良いとされています。

整腸剤は、腸の調子を整え、善玉菌を増やします。主な成分が乳酸菌ですので、服用しても問題ありません。むしろ、乳酸菌は感染性胃腸炎の原因菌を排出するのに有効とされています。

感染症によって下痢が起こると、腸内の善玉菌が著しく減るため、下痢症状だけ長引くこともあります。乳酸菌を摂取することで感染症を防ぐことはできませんが、感染してしまった時に役立つので、日頃から乳酸菌を摂取しておくのはとても良いことです。

善玉菌を増やして下痢を改善する

慢性的な下痢の主な原因は、ストレスや生活習慣の乱れによって起きた腸内バランスの悪化です。下痢を改善するには、腸内環境の改善が欠かせません。

乳酸菌は善玉菌のエサになり、悪玉菌を抑制します。普段からストレスを感じていたり、通勤や通学途中でゴロゴロ、トイレを探すのが日課になっているという人は、乳酸菌を始めてみましょう。

乳酸菌は毎日続けないと意味がありません。ヨーグルトを買ってもすぐに食べ忘れてしまったり、買い忘れてしまう人はサプリメントがおすすめです。